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鍵盤楽器奏者の「歌い方」から学ぼう! [吹奏楽]

バンドジャーナル2010年9月号の特集は、「7名の音楽家が教えるそのテクニック 歌うって、どういうこと?」、チェンバロ、オルガン奏者大塚直哉さん。

チェンバロはピアノのように極端な強弱をつけることができないので、一番出したい音のところがたくさん時間がとれるように、そうでないところを少しはしょって短くするとか、さっきのがフレーズの山だったんだとわかるように最後の方がぐずぐずしないようにする。

オルガンは、「オルガンのように」(テヌートで音価いっぱいに延ばす)弾かないようにしている。指の加減で蓋がゆっくり閉じるようにすれば、すーっとディミニエンドに聴こえる。
語尾をすごく大事にしている。「ガッツ」と言ったときのような硬い子音で終わるのか、「アーメン」と柔らかい子音で終わるのか、歌詞がついた歌と同じように。

音の語尾だけでなく、頭の子音の硬さや柔らかさや音の長さも言葉からヒントを得ている。
ドイツ人が「ミュンヘン」と発音すると、ミュンが少し強くてヘンが弱く聞こえるが、これを楽器で真似してみると、ミュンを強くするだけでなくて少し長く、ヘンの方を少しだけ短くするとよく似た感じになる。

アーティキュレーションでも、「機械」と「すいか」をチェンバロやオルガンで弾く遊びをすると、「機械」と聞こえるように弾こうと思ったら、三つの音のうちあとの二つをスラーにすればいい、「すいか」のときには最初の二つをスラーにすればいい。

古楽奏者とジャズの人たちで共通するのは裏拍の感じ方。ちょうど半分のところで感じると、ちょっと歌い方が重くなるし、半分よりも少し前に感じると、少し進行感のあるビートになる。

バッハとクープランをどう弾き分けたらいいかという話を生徒にするときに、「ドイツ語でグーテンタークと言ったときと、フランス語でボンジュールと言ったときの言葉の切れ具合は違うよね」という話をする。

(得賞歌 ヘンデルの)で、四拍子ではなく、二拍子でとると、八分音符や四分音符は少し自由になり、アゴーギクがつけやすい。


バロックダンスのレッスンでは、1拍目の前(つまりアウフタクトで)ひざをゆるめて、1拍目でそのひざを伸ばして身体が伸び上がる。
2拍子と4拍子の違いも、ヘミオラも、実際に身体が動く中で経験すると、演奏の時に自然にかっこいいリズム感をつくることができる。

かつてピアノの世界は、バッハもモーツァルトもベートーヴェンも全部同じスタイルになってしまっていて、外国から来た先生たちにいつも指摘されていた。で、ここ10~20年くらいの間に、ピアノの先生たちはスタイルの違い、作曲家や時代ごとの演奏の違い、歌わせ方の違い、ということに真正面から向き合ってみんなで研究した。
ピアノの世界ほど頑丈で融通のきかない世界でそのことができたのだから・・・われわれも10年後、20年後に向けて何かを始めなくてはならない。




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