コンテクストのずれ [吹奏楽]
平田オリザ著「演劇入門」「演技と演出」の中に、コンテクストのずれ、コンテクストの摺り合わせという内容がある。
一人ひとりの言葉の使い方の違い、あるいは一つの言葉から受けるイメージの違いを、私は「コンテクスト」と呼んでいます。コンテクストというのは、本来、文脈という意味ですが、ここでは人がどういうつもりでその言葉を使っているかという全体像だと思ってください。
オーディションで選んだ高校生と、二ヵ月かけて『転校生』という作品を創りました。
いろいろなコンテクストの衝突が起こりました。例えば、
「帰りにマクドナルド寄ってかない?」
という台詞が、どうしてもうまく言えない。
よく聞いてみると、彼女たちは、マクドナルドを「マクドナルド」と呼ぶことはないのだという。
「帰りにマック寄ってかない?」
ならばOKなのだ。これがもし、関西の女子高校生なら、
「帰りにマクド寄ってかへん?」
となるだろう。
演出家には演出家独自のコンテクストがある。演出家が、「俳優が台詞をうまく言えていない」と感じるのは、演出家のコンテクストの枠内に、俳優が入ってこないということだ。
音楽の世界にも、こういうことって、多くあるのだと思うのですよね。
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